はじめに:日向のご紹介
support of smileの看板犬(見習い)を務める日向(ひなた)をご紹介します。
日向は2000年9月1日生まれの保護犬で、多頭飼育の現場からやってきました。
今も「見習い」の肩書きですが、きっと永遠に見習い中かもしれません。😅
そんな日向は、実はとても賢くて良い子です。
子犬の頃から訓練性能が高い犬種よりも早く言葉を覚え、私と母が何気なく話している会話の中から言葉の意味を理解し、その意味に見合った行動をしてくれました。
そのため、何かを特別に教える必要はほとんどありませんでした。
また、もし先住犬の先輩看板犬アルクが悪い見本になるような行動をすると、アルクが叱られるのを見て、日向自身は悪さやいたずらをすることもありませんでした。
しかし、そんな賢い日向には、実は「軽い自閉症」という特性があります。
子犬の頃から抱っこや触られることを嫌がり、テレビの音を嫌い、ハウスの中で一人静かに寝ることを好む子でした。

犬の「自閉スペクトラム症(ASD)」とは?
犬にも人間と同じように「自閉スペクトラム症(ASD)」に似た行動特性が見られることがあります。
これは脳の機能障害が原因と考えられており、しつけの問題ではないとされています。
犬の自閉症の主な症状としては、他の犬や人とのコミュニケーションを避ける、特定の行動を繰り返す(常同行動)、特定の音や触られることに対して敏感すぎる(感覚過敏)または鈍感すぎる(感覚鈍麻)といった行動が挙げられます。
日向の抱っこ嫌いや、一人で静かに過ごすことを好む特性も、これら自閉症のサインの一つとして考えられます。
犬に見られる自閉症の主な症状
- コミュニケーション障害
- 他の犬や人との接触を避ける
- 飼い主が呼んでも反応しない
- 表情が乏しい、感情を読み取りにくい
- 反復行動・常同行動
- 同じ場所をぐるぐる回る、飛び跳ねる、体をくねらせるなど、特定の行動を執拗に繰り返す
- 特定のおもちゃに異常に執着する
- 過度な吠えや噛みつき
- パニック状態になりやすい
- 感覚過敏・鈍麻
- 特定の音や光、触られることに対して極端な反応を示す(過敏)
- 逆に、痛みや不快感に気づきにくい(鈍麻)
- 不安・多動
- 新しい環境や人、犬に対して極度の不安を感じる
- 常に落ち着きがなく、絶えず動き回る(多動)
- 集中力が続かない、指示を無視することが多い(注意欠陥)
- その他
- 認知能力の遅れ
- てんかん、発作性障害
- 恐怖をまったく感じない、あるいは過度の恐怖を感じる
原因
犬の自閉症の正確な原因はまだ完全に解明されていませんが、脳の機能障害が関与していると考えられています。
遺伝的な要因も示唆されており、しつけや社会化の不足が原因ではないとされています。
診断
犬の自閉症を診断するための明確な基準はまだ確立されていませんが、上記の症状が継続的に見られる場合に疑われます。
動物病院での診察や、行動学の専門家による評価が必要となります。
他の病気や分離不安症などの行動問題と区別することが重要です。
治療・対応
犬の自閉症の根本的な治療法は確立されていませんが、症状を緩和し、犬の生活の質を向上させるための様々なアプローチがあります。
- 環境の整備
- 生活環境をできるだけ安定させ、予測可能なルーティンを作る(散歩や食事の時間を一定にするなど)
- 刺激を減らすために静かで安心できる場所を提供する
- 特定の音や匂いに敏感な場合は、それらを避ける工夫をする
- 専門的なトレーニングと社会化
- 犬の個別のニーズに合わせた専門的なトレーニングが重要です。訓練士や獣医師と連携し、無理なく進めることが大切
- 他の犬との関わりが苦手な場合は、少人数のグループでの社会化トレーニングを検討する
- 基本的な指示やルールを教えることで、犬に安心感を与える
- 飼い主の接し方
- 叱ったり罰したりすることは避け、望ましい行動を肯定的に強化する(褒める、おやつを与えるなど)
- 犬のペースを尊重し、無理に何かをさせない
- たくさん遊び、たくさん褒めてあげることで、犬の自信を育む
- 困った時には一人で抱え込まず、獣医師や行動学の専門家に相談する
- 介助犬の役割
- 人間の自閉症の子どもをサポートする介助犬の事例は多く、犬が安心感を与え、社会性を高める効果が報告されています
- 犬自身が自閉症と診断された場合でも、適切なケアと環境があれば、質の高い生活を送ることができます
最新の研究
自閉症に関連する遺伝子変異を持つ犬の脳活動や行動に関する研究も進められており、LSDのような物質が犬の脳に与える影響や、人間とのつながりを深める可能性についての研究も行われています。
犬の自閉症は、飼い主の責任ではなく、脳の機能の違いによるものです。
愛犬に上記のような症状が見られる場合は、専門家に相談し、適切なサポートを受けることが大切です。
抜群の賢さ!言葉を覚えるのが得意な日向
日向は、子犬の頃から驚くべき賢さを見せてくれました。
一般的な訓練犬種と比べても、その学習能力は目を見張るものがありました。
特に、言葉を覚えることに関しては、私が何かを意図的に教える必要がほとんどなかったほどです。
私は日向に、お座りやお手といった指示を教えた記憶がありません。
なぜなら、母や私が普段の生活の中で何気なく話したり会話したりしている言葉を、日向がしっかりとその意味と関連付けて覚えていたからです。
例えば、「ご飯だよ」と言えば食事の場所へ向かい、「お散歩行く?」と聞けばしっぽを振って玄関にスタンバイ。
私たちの会話から状況を察し、その言葉に見合った行動を自然ととってくれたのです。
さらに面白いエピソードがあります。
もし、先住犬のアルクが何か悪いことをして叱られると、日向はその様子をじっと見ていました。
そして、アルクが叱られているのを見て学んだのか、自分は悪さやいたずらを一切しない賢い子でした。
このように、日向は私たちが教えずとも、自らの観察力と理解力で多くのことを学び、生活していました。
日向が教えてくれたこと:抱っこ嫌いから「好き」の絆へ
しかし、賢い日向にも、その「軽い自閉症」の特性ゆえの行動がありました。
日向は子犬の頃から、抱っこされたり体に触られたりすることを極端に嫌がり、他の犬や人から離れてハウスの中で一人静かに寝るのを好む子でした。
また、テレビの音には過敏に反応し、不快感をあらわにします。
これが、日向が持つ自閉症のサインの一つでもありました。
そんな日向の姿を見て、母が心を痛める出来事がありました。
日向はシングルコートのスムースな毛質なので、特に寒い冬の夜は体が冷えていないか心配していました。
母は日向に少しでも暖かく眠ってほしいと、自分のベッドで一緒に寝たいと母から相談されました。
これが、日向と私と母の絆をより一層深める大きなきっかけとなるかもと思った私は、その提案を受け入れました。
触られることを怖がる日向に、どうすれば安心して寄り添ってもらえるか。
私は、日向のペースに合わせて、優しく根気強く「触られることは怖いことじゃない、安心できることなんだよ」と教えていく訓練を始めました。
この訓練を通して、日向は少しずつ、私たちへの心を開いてくれるようになったのです。
日向と私たちの「好き」を育む特別なルーティン
- ゆっくり撫でながら、「可愛いね」「賢いね」「良い子だね」と優しく褒める声かけ
- 日向が安心できるようなトーンやリズムを心がけることの重要性
- 撫でることに慣れたら、両手で顔を包み、ゆっくりと額にキスをすること。
- 「好き」「大好き」といったポジティブな言葉をかけること。

support of smileで実践している「好き好きしよか?」「チュッチュこしようか?」といった、夜の就寝前の決まった合図があります。
これが日向にとって安心できる日課になっていて、日向からも「チュッチュこして~」と来るように💕
そのおかげで、頭を撫でられることへの恐怖を克服しました。
お座りをさせて「メッ!」と強い口調で、目を見つめるだけの叱り方で終わらせる



強く叱ったり、上下関係を意識させたりすると、トラウマになったりパニックを起こす可能性があるため、日向に合った叱り方を選んでいます。
自閉症を持っていると、自分に嫌なことがあった時に感情の対処が上手くできないので、それはダメということを伝えることを重視しました。
おわりに:日向が教えてくれる多様性
日向との関わりを通して、犬にも様々な個性や多様性があること、そして私たち人間の接し方ひとつで、彼らがどれほど安心し、心を開いてくれるかを改めて感じています。
日向は、これからもsupport of smileの「看板犬(見習い)」として、訪れるお客様に癒しと笑顔を届けてくれることを期待しています。
特に人の行動を真似ることがある日向は、お膳の前できちんと座っていたり、私たちの問いかけ(ウンチ出た?お水がないの?など)には、日向が伝えたい事柄の時にくるんと回って尻尾を振って合図をしてくれたり、母が友人との会話を楽しんでる時も、会話の内容に合わせて首を傾げたり、辛い話をされてる方には心配するかのようにジッとみつめていたりして、母や周りの方からも「よく話を聞いている」「理解している賢い子」と言われ、可愛がっていただいています。
今は母の大事なパートナーです。
そして、日向の存在が、犬たちの多様な特性を理解し、それぞれに合った愛情を注ぐことの大切さを伝えるロールモデルになることを願っています。
この日向のお話が、あなたの愛犬との関係性を見つめ直し、新たな発見や絆を深めるきっかけになれば幸いです。
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