愛犬が自分の尻尾をクルクルと追いかける姿は、一見すると無邪気で可愛らしい遊びに見えるかもしれません。

しかし、もしその行動が過剰だったり、頻繁に繰り返されたりするなら、それは単なる遊びではない可能性があります。私たちは、犬の行動の裏に隠された心のSOSを見逃してはなりません。
実はこの『尾追い』行動、時に私たち人間の『強迫性障害』(OCD)と驚くほど多くの類似点を持っていることをご存知でしょうか?
なぜ犬は尾を追うのでしょうか?隠された心のメカニズム
単なる退屈や遊び心から始まることもありますが、それがエスカレートすると、ストレスや不安、あるいは遺伝的な要因が絡む複雑な行動に発展することがあります。
脳内の神経伝達物質の不均衡や、過去のトラウマが影響しているケースも少なくありません。
ここで注目したいのが、私たち人間と犬の『強迫性障害』における驚くべき『類似点』です。
強迫性障害(Obsessive-Compulsive Disorder: OCD)とは、不合理な思考(強迫観念)や反復的な行動(強迫行為)が自己抑制できずに繰り返される精神疾患を指します。
人間の場合、手を洗い続けたり、鍵を何度も確認したりする行動が典型的ですが、犬の場合、過剰な尾追い、執拗な舐め壊し、空中を噛む(フライバイト)などが、同様のメカニズムで生じることがあるのです。
これは、犬も私たち人間と同じように、心の葛藤や精神的な問題を抱える可能性があることを示唆しています。
愛犬が尾を追い続ける背景には、例えば、適切な運動不足、知的刺激の欠如、分離不安、あるいは痛みや不快感といった身体的な問題が隠されていることもあります。
これらのストレスが蓄積され、解放されない状態が続くと、強迫的な行動として現れてしまうことがあるのです。
愛犬の心のSOSを見逃さない!あなたにできること
では、愛犬の『尾追い』行動に気づいたら、私たちはどうすれば良いのでしょうか?
まず大切なのは、その行動が一時的なものなのか、それとも反復的で執拗なものなのかを冷静に観察することです。
もし、過剰な頻度や強度で繰り返されるようであれば、専門家への相談を強くお勧めします。
当方は、犬の習性を深く理解し、それぞれの個性に合わせたアプローチを提案するドッグトレーナーとして、皆様のお力になれます。
行動学的な視点から、愛犬のストレス要因を特定し、適切な環境エンリッチメント(犬の心身の健康を促進するために、環境を豊かにすること)の導入や、ポジティブ・リインフォースメント(望ましい行動を褒めて強化すること)に基づいたトレーニングプランを構築いたします。
また、必要であれば獣医師と連携し、身体的な問題の有無や、薬物療法も含めた総合的なサポートをご提案することも可能です。
愛犬の『尾追い』行動は、『もっと深く理解してほしい』というメッセージかもしれません。
この機会に、愛犬の心に寄り添い、より豊かな関係を築いていきませんか?
その第一歩を全力でサポートいたします。

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