私たちの愛する家族である犬たちは、かけがえのない存在です。
しかし、どんなに気を付けていても、予期せぬ瞬間に彼らが私たちの元を離れてしまう可能性はゼロではありません。
その瞬間の胸の締め付けられるような不安、そして「二度と会えないかもしれない」という絶望感は、想像を絶するものです。
だからこそ、私たちは愛犬を守るための最善の備えをしておく必要があります。
その中でも、近年特に注目され、その重要性が増しているのが「マイクロチップ」の装着です。
この記事では、単なる義務としてではなく、愛犬の安全を守り、万が一の時にあなたの元へ再び導くための「希望の証」としてのマイクロチップについて、ドッグトレーナー兼アドバイザーの視点から深く掘り下げていきます。

マイクロチップとは?その仕組みと安全性
「マイクロチップ」とは、ごく小さなカプセルに収められたICチップで、専用のリーダー(スキャナー)で読み取ることで、個体ごとの識別番号(ID番号)を読み取ることができる装置です。
この識別番号が、飼い主情報と紐付けられたデータベース(個体識別情報を保管する大規模な情報システム)に登録されることで、迷子になった際に飼い主を特定する鍵となります。
「うちの子に何か埋め込むなんて、かわいそうなのでは?」と不安に感じる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、装着は動物病院で行われる非常に短時間で、痛みも最小限に抑えられます。
ワクチン注射とほぼ同じ感覚で、犬の体への負担はごくわずかです。
多くの場合、首の後ろ側の皮下に埋め込まれ、一度装着すれば一生涯機能します。
これは、愛犬が常に身に着けている、決して失われることのない「身分証明書」のようなものなのです。
なぜ今、マイクロチップが「必須」なのか?
首輪や迷子札ももちろん大切ですが、これらは外れてしまったり、記載情報が読み取れなくなったりするリスクがあります。
マイクロチップは体内に装着されているため、そのような心配がありません。
日本では2022年6月1日より、ブリーダーやペットショップで販売される犬や猫へのマイクロチップ装着と情報登録が義務化されました。
これにより、より多くの迷子動物が飼い主の元へ戻れる可能性が高まりました。
さらに、災害時にもその真価を発揮します。
多くの動物が避難生活を送る中で、誰の飼い犬かを特定することは非常に困難になりますが、マイクロチップがあれば迅速な身元確認が可能となり、混乱を最小限に抑えることができます。
また、動物遺棄や虐待の防止にも繋がり、動物愛護の観点からも極めて重要な役割を担っています。
マイクロチップ装着後の大切なステップ:登録と更新
マイクロチップを装着するだけでは、その真価を発揮しません。
最も重要なのは、その識別番号と飼い主情報を適切なデータベースに登録することです。
日本では、指定登録機関への登録が義務付けられています。
登録が完了すれば、動物病院や保健所、保護施設などで迷子の犬が発見された際にリーダーで識別番号が読み取られ、データベースを参照することで飼い主情報が判明し、速やかに連絡が取れるようになります。
さらに重要なのが、登録情報の「更新」です。
引越しや電話番号の変更など、飼い主情報が変わった場合は、必ず速やかに登録情報を更新してください。
せっかく装着したマイクロチップも、情報が古くては意味がありません。
「うちの子は絶対迷子にならない」という過信はせず、常に最新の情報にしておくことが、愛犬の安全を守る最後の砦となります。
サポ子定期的に情報を確認する習慣をつけることを強くお勧めします。
もちろん、support of smileの看板犬達も装着&登録済み!
愛犬の習性とマイクロチップ:脱走防止の観点から
ドッグトレーナーの視点から見ると、犬が迷子になる背景には、その習性が深く関わっています。
発情期のメス犬を追いかけて脱走するオス犬、雷や花火の音にパニックを起こし、興奮してフェンスを飛び越えてしまう犬、知らない場所への探求心が強く、好奇心から遠くまで行ってしまう犬など、その理由は様々です。
どんなに賢くしつけられた犬でも、本能的な衝動や予期せぬ事態には抗えないことがあります。
マイクロチップは、そうした犬の習性からくる「もしも」の事態に、人間側ができる究極の備えと言えるでしょう。
脱走防止のための環境づくりやトレーニングはもちろん重要ですが、それに加えてマイクロチップという物理的な「保険」をかけることで、飼い主としての責任と愛情を最大限に表現することになります。
これは、単なる義務ではなく、愛犬への深い愛情と、彼らを家族として迎え入れた私たちの「覚悟」の証でもあるのです。
まとめ:愛犬との絆を守るために、今できること
愛犬が迷子になることは、飼い主にとって想像を絶する不安と悲しみをもたらします。
しかし、マイクロチップは、その不安を大きく軽減し、愛する家族と再会できる可能性を飛躍的に高める、現代において最も確実な安全策です。
まだ装着されていない方は、ぜひ一度かかりつけの獣医師にご相談ください。
すでに装着されている方も、登録情報の確認と更新を忘れずに行いましょう。
私たちの行動一つ一つが、愛犬の命と安全を守り、かけがえのない絆を未来へと繋いでいくことに直結しています。
マイクロチップは、愛犬への「最高の贈り物」であり、私たち飼い主にとっての「究極の安心」なのです。

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